この日記はMozillaのプロダクトへの貢献者としての私の成果を中心に、気になったバグやWeb界隈の話題について書いていますが、 断り書きがある場合を除き、いかなる団体のオフィシャルな見解ではありません。あくまでも個人的なものです。 Mozilla Foundation、Mozilla Corporation、及び関連企業の公式情報ではないことに注意してください。

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もずはっく日記(2008年6月)

2008年6月14日

Re: Mac版Firefox 3正式版でニコニコ動画に日本語が打てなくなりそうな問題について
初回投稿日時: 2008年06月14日16時17分06秒
最終更新日時: 2008年06月15日03時14分06秒
カテゴリ: Mozilla Core 雑談
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この記事と記事に付いてるコメントとその他関連エントリを読んで、もずはっく中野さんが矛盾してるなーと思ったのは、bugzillaが盛り上がってないからバグの影響が少ないと見積もっていて、一方では開発コミュニティであるbugzillaに半端な覚悟の素人が踏み込むなと言っている点。そもそも Firefox2で当たり前に出来ていたことがFirefox3で出来なくなるのだから、問題が顕在化するまで騒ぎは起きないでしょう。「CSSのナントカのプロパティの実装にバグがある」とかならブラウザのバグだと分かりやすいけど、わざわざベータ版を入れているユーザーで、しかもブラウザの問題か Flashの問題からOSかIMEの問題か判別が付かない状態でbugzillaを見に行く人はごく少数じゃないでしょうか。

私は何も矛盾していると思いません。

開発者がある程度の数揃えば(前エントリにあるように、開発者の定義はパッチを書くレベルとは違います)、趣味や嗜好もそれだけばらけます。それだけで十分なサンプルが採れると私は思います(統計学詳しくありませんが、日本人全体の考え方を調査するとき、数千人しかサンプルとりませんよね?)。

それと、報告者が原因を分かっている必要は無いんですよ。私はそんなことは一度も書いていません。Fx3のbetaを入れたら使えなかった、その事実があるだけで報告すれば、分かる人達が検証してくれます。検証の結果、Flash側の問題だとしてもAdobeに対して何らかのフィードバックを行います。該当のバグを読んでいただければ分かるように、Adobeとも連携して開発を行っています。

自分にできる範囲のことをやる人が少ない(母数が少ないのがより大きい問題ですが)、それがMac版の開発者が少ない理由だと思います。

フィードバックが来るのはbugzillaじゃなくてウェブサイトの運営側で、多分「突然日本語入力が出来なくなりました、パソコンの設定は何も変えていません、元に戻してください」というような問い合わせが多数来るでしょう。そうなると対処のしようもないので「Firefox3以外のブラウザを使ってください」と回答するしかなくなります。

このバグを既に知っているなら、「Fx2に戻してください、もしくはSafariを使ってください」と言うのが現実的だし、それで良いと思いますよ。使えないという、バグがあること自体は開発コミュニティの失態であり、そこは否定しません。

あと、先のエントリで述べたようにFlashを使うこと自体に問題があります。それを選択したのはWebコンテンツ側ですし、そのリスクを理解できていなかったのであれば勉強不足と言うほかありません。既にその時点でLinuxユーザを切り捨ててる訳ですし、(Linux版の問題はFx2でも環境限定での問題の様です)そのリスクは十分に分かってないといけません。また、このバグがなかったとしてもインライン入力ができない、という事実があります。Macユーザがそのようなサイトを好むのか、そこに私は相変わらず疑問を持っています。

バグによって直接影響を受ける人の数も重要ですが「バグが残っていることで人に薦めづらくなる」ということも大きいと思います。

もうひとつだけ追記しておきます。

Mozillaの開発コミュニティの判断は残っていても(branchで修正できるんだから)問題無い、という判断です。

この意見に対して異論があることは理解できます。私も以前に述べたように、バグの重要度の判定結果は人それぞれです。現在のコミュニティに対して異論があることは、コミュニティを形成していく上で健全です。ですが、それを外野で述べるだけで、意見が通らないことに不満を感じるのは不健全です。意見を通したいなら開発の中の人になるしかありません。そしてそこでの発言力というの以前から述べているように実績が必要です。今回のように、日本に特殊事情があると考えるならなおさらです。それは日本人以外には分からないことですから日本人以外の開発者は日本人の意見を参考にするしかないわけですが、実績が無い人の意見を聞くというのは無謀極まりありません。

ITmediaでも事実を誤認したまま記事が書かれているので改めて強調しておきますが、問題のバグはbeta5(最終ベータ版)では修正できていませんでしたが、ギャンブルとして修正が行われました。しかし、そのギャンブルに失敗し、RC1ではbeta5のクオリティが維持できていなかったので、RC2直前でバックアウトされているのです。

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